ARTとは卵子を採取する「採卵」
体外で卵と精子を受精させる「体外受精」や「顕微授精」
受精卵を子宮内に移植する「胚移植」「凍結胚移植」などを含む医療技術の総称です。
2021年体外受精による出生は6万9797人でした。
21年総出生数は81万1622人で、11.6人に1人、
8.6%が体外受精で生まれたことになります。
当院の妊娠判定陽性率は、
40歳未満で平均63%です
一般不妊治療では妊娠しにくい原因がある場合や、
人工授精をある程度行っても妊娠しない場合、
生殖補助医療が新たな選択肢になります。
早めの体外受精をおすすめする理由
- 卵子の状態がわかる。
- 体外受精の妊娠率は他の方法よりも高い。
- 不妊原因を探索し、原因に対処することができる。
体外受精の適応
卵管因子
・卵管が閉塞している、または卵管水腫・子宮外妊娠などにより卵管を切除した場合。
・クラミジア感染や淋菌などの性病の既往歴がある場合、卵管や卵管周囲がダメージを受け排卵後に腹腔内に排出された卵子を取り込めなくなるピックアップ障害を起こしてしまいます。
免疫因子
女性が精子を異物として認識したときにできる抗精子抗体が陽性の場合、精子の運動性や受精能力が損なわれます。
婦人科系疾患
重度の子宮内膜症、子宮筋腫などの疾患が認められた場合。
男性不妊
精子の運動率が悪かったり、乏精子症、精子無力症などの場合。
原因不明不妊
一般不妊治療や排卵誘発剤を用いた治療によっても妊娠に至らない場合。
体外受精によって不妊原因が新たにわかる場合もあります。
体外受精の流れ
≪スケジュール例≫

STEP 1生理が始まって2~3日目に受診 (表中①)
採血でホルモン値をチェック
育ちそうな卵胞があるかエコーで確認
⇒
採卵できる周期かどうか決まります
排卵誘発剤(内服・注射)を数回使用して、複数個を採卵する方法です。
誘発剤の効果には個人差があります。良好な受精卵を凍結保存しておき、次周期以降に融解して移植します。
中にはお1人目さま妊娠後、余剰胚移植でお2人目さまを妊娠される方もいらっしゃいます。
また、誘発剤を使用しても1個しか育たないと考えられる場合や、過去に採卵しても受精卵の質が良くなかった場合は、排卵誘発剤を一切使用せずに、自然な月経周期の中で育つ卵胞から採卵する方法も行っております。
STEP 210日目頃に受診 (表中②)
採血でホルモン値をチェック
採卵できるサイズに卵胞が育ったか
エコーで確認
⇒
良ければ採卵日程が決まります
STEP 3採卵(午前のみ) (表中③)
当日の来院時間は7:30~9:00位
採卵とは、排卵前に経腟的に卵巣から卵子を体外に取り出すことを言います。
採卵はモニター画面を見ながら経腟超音波のガイド下に卵胞を穿刺し、卵胞液とともに卵子を吸引・回収します。
採卵日には、当日採取した精子が必要となります。

STEP 4受精方法について
体外受精
- 精子と卵子を合わせて
自然に受精するのを待つ方法
顕微授精
- 卵子の中に針を使って
精子を1個注入する方法
タイムラプスインキュベーターによる胚培養
当院では、まだ導入されている施設の少ないタイムラプスインキュベーターを用いて胚培養を行っております。
インキュベーターとは、体内に近い環境で胚を育てる機械のことです。
従来のインキュベーターでは、数回に渡って胚を外に出して観察する必要があり光や空気などのストレスがかかってしまいましたが、カメラが内蔵されたタイムラプスインキュベーターを利用することで、胚を取り出さず安定した培養環境で観察することができます。

STEP 5胚凍結
当院では全ての受精卵を基本的には、胚盤胞へすすめて凍結しております。
胚盤胞 (採卵後5日目以降)
胚盤胞は分割胚より進んでいることが確認できているため、妊娠率は高くなる傾向にあります。

STEP 6胚凍結結果報告
採卵から約7日後に来院
「胚凍結結果報告」、「胚移植方法の相談」があります。
基本的に当院では、全て胚盤胞まで培養して凍結保存し、次周期以降で融解胚移植としております。
STEP 7融解胚移植
凍結胚の移植には以下の2通りの方法があります。
詳細は医師とご相談下さい。
① 排卵周期での胚移植
排卵日=採卵日と考え、凍結した日を計算して融解日を決定します。
つまり、凍結が採卵5日後であれば融解胚移植日も排卵の5日後ということになります。
月経周期が不順の方で排卵させるのに多くの注射などが必要な場合は不向きな方もいらっしゃいます。
(このような方は、②の方法が有効です)
なお、その周期の排卵が上手くいかなかったとき(非破裂卵胞)は中止となります。
② ホルモン補充周期(HRT周期)での胚移植
月経開始2~3日目からホルモン剤を使用し受精卵が着床しやすくなるように子宮内膜を整えてから移植を行う周期のことです。
・ホルモン剤を使用することで移植日を調整することが出来る。
・移植日までの通院回数を少なくすることが出来る。
しかし、いくつかの問題点があります。
ホルモン剤の使用忘れの場合は、妊娠率に大きく悪影響を及ぼします。また、ホルモン剤による血栓リスクがあります。
<胚移植の際の工夫>
ヒアルロン酸含有胚移植用培養液の使用
「ヒアルロン酸」は卵胞液や卵管、子宮内膜などに豊富に存在する物質であり胚の表面に結合すると子宮に着床する際に有利に働くと
考えられています。
Laser Assisted Haching (LAH)
胚は通常、孵化(ハッチング:透明帯の中の細胞が外へ出る)したのち子宮内膜に着床します。
このハッチング現象を助ける目的でレーザーを用いて透明帯を薄くする手技がLAHです。特に融解胚移植の場合には有効です。
<胚移植の時間帯>
月~土 12時~12時30分で行っております。
よくあるご質問
- 受診は昼休みや仕事終わりでも可能ですか。
- 受診時ホルモンの値を確認するために採血があります。(スケジュール①と②の受診時)
結果が出るまでに1時間程度要しますのでそのままお待ちいただくか、朝の出勤前に採血のみ済ませておいて、仕事の昼休みや仕事終わりにお戻りいただくことも可能です。
- 採卵は何時に行いますか。
- 午前8時~10時の時間帯で行っております。午後は行っておりません。
- 採卵後は仕事や家事の制限はありますか。
- 座薬使用の場合は採卵後2~4時間後位に帰宅可能となりますので無理のない範囲で仕事や家事は可能です。
麻酔使用の場合は採卵後4~5時間後位に帰宅可能となりますが、判断力が鈍くなりますので車の運転は禁止、仕事もお休みください。(※車での来院は禁止となります)
このようなことでお悩みの方は、
ご相談ください
- 35歳以上で初めて妊娠を望む方
- 体調を整えてできるだけ自然な妊娠を望んでいる方
- セックスレスだけどいつかは妊娠できるとお考えのご夫婦
- 避妊せず定期的にセックスをしているが妊娠しないご夫婦
- 1人目は自然に妊娠出産したけど、2人目がなかなかできないご夫婦